月明かりのその下で

「月がきれいだな」
あなたが言いました。
「私もです」
私は返しました。
あなたは耳まで真っ赤に染めて黙り込んでしまいました。
私は知っているのですよ。
あなたの最近の愛読書が、夏目漱石であることぐらい。
だって、私は。
あなたのことを愛していますから。



「愛している」は少し、恥ずかしいから